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short story
第13章 遥斗先輩とみなみちゃん 後編 / haruto
深夜のファミレスは客も少なく、そんな中で兄さんは目立ち過ぎるほど目立った。
ウェイトレスの案内を断り兄さん目指して足を進める。


俺に気づいた兄さんが顔を上げ、座れと顎で指図した。
俺も黙って座った。
下手に出る気はサラサラなかった。


兄さんの前にはドリンクバーの紅茶が置かれている。
ウェイトレスがやって来て注文を聞かれたから俺もドリンクバーを頼んだ。


「・・・ハーブティーを持って来てくれ」


立ち上がる時、兄さんに頼まれる。
カルアミルクとかハーブティーとか・・・見てくれとは嗜好が随分違うゴリラだ。
自分のコーヒーと頼まれたハーブティーを淹れて席に戻ると俺から話を切り出した。


「俺、みなみとは別れる気はないですから」


「・・・・・・・・・・・・」


「お兄さんが何て言おうと何をされようと俺はみなみが好きです。別れるつもりはありませんよ」


先手必勝、兄さんはハーブティーのカップを手に持ち一口飲んだ。


「みなみは大事な妹なんだ」


「それは分かってます」


花火大会の夜とは違い、兄さんはやけに大人しい。
でも気は抜けない。
何が起きるか分からないと思っていた。


「みなみをやる男は強くて優しくて・・・みなみを大事にしてくれる男と決めていた・・・それをお前は俺の断りもなくかっさらって手までつけて・・・」


「・・・そんなに悪い事ですか?確かにあの日は配慮がなかったと思います、それに関しては謝ります。でも俺・・・みなみとの関係を謝るつもりはありません、俺はみなみが好きで・・・だからこそだと思ってますから」


「・・・破廉恥め、お前みなみとの将来を考えてると言ったな」


「はい」


「責任は取れるのか」


「責任ってよりもみなみが好きだからそう思ってます」


俺は兄さんを真っ直ぐ見てるけど、兄さんは俺を見ない。
ずっと視線を落としたまま力なく話している。


「みなみも男を見る目がないというか・・・」


「・・・・・・・・・・・・」


「みなみはまだ高校生だ、高校生には高校生らしい付き合い方というものがあるんだ」




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