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short story
第13章 遥斗先輩とみなみちゃん 後編 / haruto
でもどうやら兄さんは怒ってるわけじゃないらしい。


「母がまた話したいと言っていた」


「・・・・・・・・・」


「みなみも喜んでいた」


「はい・・・」


「話はそれだけだ、夜遅くに悪かったな」


「いえ」



何が言いたい電話なのか良く分からなかったけど、怒られた訳じゃないらしい。


それから少しして、みなみから兄さんと同じような内容のLINEが届いた。


『お母さんがね、遥斗のことカッコイイって言ってたよ』


『嬉しくて遥斗のこといっぱい話しちゃった!』


『お母さんももっと遥斗と話したいって言ってたよ』


『だからまた来てね!』



みなみのLINEは兄さんとは真逆でテンションが高くて、読んでるだけで笑が零れた。


『また来てね』の言葉通り、それから一ノ瀬家にお邪魔することも多くなった。
お母さんの次にはお父さん、そして時々ゴリラーマン。


みなみの家の夕飯に呼ばれるまで時間もかからず、一度呼ばれれば頻繁に声が掛かりお互いの親公認の清く正しい交際が続いていた。
それは俺には好都合だった。


二人だけでいるとみなみに触れたくて仕方なかったから・・・


エッチももちろんしたいけど、それ以上に抱きしめたりキスがしたかった。
そんな修行みたいな交際も二ヶ月三ヶ月と続き、辛いながらこの状況にも慣れて来た。
慣れては来たけど生理的現象はどうにもらない。
家に帰って一人寂しく処理する日々は虚しいの一言だった。



けれど俺の努力の甲斐あってか、時を追うごとに兄さんも少しだけ俺への態度が柔らかくなったように思う。


四ヶ月五ヶ月六ヶ月・・・
みなみと居る時余計なことをしないため、休日昼間のバイトを始めた。
この頃からしばらく、俺はバイトばかりの生活になる。


かと言って使うあてがあるわけでもなく・・・
サークルは殆ど顔を出していなかった。
でもたまに飲み会やスポーツ系のイベントには参加した。


そしてそれは久しぶりに参加した飲み会での事。
連日のバイト疲れと風邪気味が重なって珍しく俺が潰れた飲み会の夜。


「ん・・・」


目を覚ますと見たことのない部屋だった。
驚いて勢い良く起き上がる。


「起きた?」


そんな俺に背後から声が掛かる。
振り向くとそこに居たのは日和さんだった。





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