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short story
第13章 遥斗先輩とみなみちゃん 後編 / haruto
「もしもし」


『もしもし、大丈夫?』


「ん、全然平気・・・それより悪かったな、ずっと返事出来なくて」


『ううん』


「でも心配して起きててくれたんだろ?」


『・・・勝手に起きてただけだから』


そんなこと言われたらたまらない気持ちになってしまう。
何も無かったとはいえ罪悪感や不安感が溢れ出て、みなみを想う気持ちが強くなる。


「明日起きらんねーな」


「大丈夫、休みだから」


「昼まで寝てるんだろ」


「違うよ、それより何かあった?声がおかしいよ」


「・・・・・・・・・」


言葉に詰まった。
何も無かったとはいえみなみが知ったら確実に傷つく出来事だ。


「みなみ・・・会いたい」


『えっ?』


「みなみに会いたい」


抜けかけた酒と風邪で怠い身体はみなみを欲した。
みなみに会って抱きしめたかった。
でもそれさえ今の俺には不可能な欲求で・・・


「・・・今家?」


「いや、まだ・・・終電終わったから歩いてる。つーか夜中だからな、コッソリ抜け出そうとか思うなよ」


「遥斗が会いたいって言ったんじゃん」


「会いたいよ、会いたいけど夜はダメ」


「なら・・・会いに来てくれる?」


みなみの言葉にドキッとした。
でもすぐに兄さんの顔が浮かんでゲンナリする。


「無理だろ、俺殺されるって」


「居ないよ、お兄ちゃん。お友達だか知り合いだかのとこに行くって」


「・・・・・・・・・」


そんなこと聞いてしまえば行かない選択肢などなくなってしまう。
でも罠じゃないだろうかとも思う自分はつくづく兄さんを恐れてるんだろう。


「遥斗?」


「・・・罠じゃないよな?」


「罠じゃないよー、お兄ちゃんはそんな小細工できるほど複雑な脳してないから」


何気にヒドイみなみだ。
でも、それなら会いたい。
抱きしめられなくてもキス出来なくてもみなみに会いたい。


それから30分かけて歩いてみなみの家に着いた。
LINEをするとみなみの部屋に電気がついて、窓からみなみが現れる。


『部屋来る?』


みなみからLINEが来た。


『いや・・・やめとく』


『なら今行く』


それだけ送って窓からみなみが消えた。
少しするとカチャッとドアが開いてみなみが顔を出す。



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