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short story
第13章 遥斗先輩とみなみちゃん 後編 / haruto
春が過ぎればあっという間に夏が来て、俺は教習所に通い始めた。
相変わらずバイトも忙しく、今まで以上にみなみとの時間も取れていない。


それでも花火大会は今年もみなみと約束した。
早いものでみなみと行く花火大会ももう三度目、特に去年は苦い思い出で締め括られたのだが・・・


「遥斗、お待たせ」


トントンと階段が鳴ってみなみが降りて来た。
落ち着いた和風ピンクの浴衣はみなみの魅力を最大限に高めている。


「どう?今年は新しくお婆ちゃんが縫ってくれて・・・」


「すっげー可愛い!!!マジで可愛い!!!」


「もう・・・ホント大袈裟だよ」


「大袈裟じゃねーよ!みなみは本当に可愛いよ。俺こんな可愛いみなみ連れて歩いていいのかな」


浴衣姿に感極まって手をにぎろうとすると・・・


「問題ない、俺も一緒だからな」


「・・・・・・・・・」


そこに浴衣を着た兄さんが割って入る。
そう、去年の一件があったせいで今年は兄さんも一緒に行くという・・・


「遥斗も浴衣着れば良かったのに」


「俺はいいよ」


「絶対似合うよ。来年は着てよ」


「じゃあみなみが選んでくれれば・・・」


「うん、選ぶ選ぶ!約束だからね」


「フン、浴衣なんぞ誰が着ても同じだろうが」


「楽しみだな、来年・・・行こっ」


「・・・・・・・・・・・・」


・・・俺も二人きりで行きたかったけどそれ以上に兄さんに来て欲しくなかったのはみなみのようで、兄さんの存在完全無視で俺の手を引く。


「みなみ、人前で手を繋ぐのはだな」


「今年もりんご飴食べようね」


「みなみ!」


「お、お兄さんも好きですか?りんご飴」


「・・・俺はチョコバナナ派だ」


バナナ!さすがゴリラ!!
・・・なんて言えるはずもなく。


「懐かしいなチョコバナナ」


愛想笑いするしかない。


「遥斗は子どもの頃何が好きだった?」


「俺?そうだな・・・型抜きとかクジとかばっかしたかな」


「型抜きやクジなんてボッタクリもいいとこだろう・・・男は射的・・・」


「みなみはね、りんご飴とキラキラ光るアクセサリーが好きだった!!」


どうしても二人の世界を作ろうとするみなみに少し兄さんが可哀想になってきた。








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