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short story
第13章 遥斗先輩とみなみちゃん 後編 / haruto
「しょうがないな」と言いたげにみなみが目を瞑る。
でも期待がその顔に透けている。


「・・・・・・・・・」


周りを見るとまだ誰も居ない。
ギリギリまで唇にしようと思ってた。
でも今改めてキスなんかしたら止められなくなるだろう。


そう思ってキスをおでこに。


「・・・・・・・・・」


おでこですか?と不満げにみなみが目を開ける。


「多分止まらなくなるから・・・やっぱ外だし」


「一度だけなら構わないよ?」


「だから・・・やっぱ止まらなくなりそうだから・・・みなみのキス顔が可愛過ぎる」


恥ずかしい・・・
照れた顔を見られたくなくてみなみから顔を反らした。


「・・・じゃあ帰ったらいっぱいしてね」


みなみが手を握ってピタリとくっつく。
動作の一つ一つがいちいち可愛くてそれだけで感じそうだ。
今夜俺、どうなるんだろうか・・・


それから久しぶりに手を繋いで学校からの帰り道を歩いて帰った。


「ねえ、みなみの第二ボタン欲しい?」


「いらない」


「えーっ、みなみは遥斗のボタン今でも大事に取ってあるよ」


みなみがブーっと膨れた。


「マジで?」


「うん、だって宝物だもん」


あんなボタンが宝物とか・・・胸がキュンキュンする。


「・・・みなみの制服のボタン取ったらもう着せられないだろ?」


「もう着ないよ」


「着るよ!エッチする時に着るの」


「・・・変態」


「俺を襲おうとしてた人に言われたくないです」



イチャイチャしながらみなみの家に帰ると話通りお父さんもお母さんも居なかった。
リビングに放り投げられたお母さんのフォーマルバッグが旅行への期待を物語っていて何だか笑える。


「マジで行ったんだ旅行・・・」


「すっごく楽しみにしてたもん」


お母さんのバッグを拾いソファーに置きながらみなみが笑った。


今頃みなみのお父さんとお母さんはイチャイチャしながら新幹線に乗ってるのだろうか。
その姿が目に浮かぶようだ・・・


「・・・みなみの部屋行く?」


「行ったことないな、みなみの部屋」


あの日から極端に二人きりの密室は避けて来た。
だから俺の家に来ても部屋には来なかったし、みなみの部屋にも行ってない。


でも今日からそんな我慢はもう必要ないんだ・・・








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