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short story
第15章 ゆらの恋 / yura
愛されてるって感じたのは確かだったから・・・
その気持ちもろ共否定されて「止めろ」なんて言われたって止められるわけない。


大好きだから・・・


それに高志は私のこと、ちゃんと好きで居てくれてる。
そうじゃなければあんな風にキスはしない、あんな優しいエッチだってしない・・・


奥さんの事は正直良く分からない。
見たことも会ったこともない人だし、そんな人を想えと言われたって難しい。
それに今はこういう関係だって、いつかは何か変わるかもしれないし。
高志は高志なりに考えがあって私に言わないだけかもしれないし。


きっとそう、きっと・・・
―――私はそう思って疑わなかった。






それからも高志との関係は続いていた。
でも終わりは思う以上に呆気なく訪れた。
それは大学に入学してすぐの事だった。


その日も高志とディナーを食べてホテルで愛しあっていた。
事後の気だるさと眠気でウトウト微睡んでいた時、高志が言った。


「ゆら、二人で会うのは今日で終わりにしよう」


「・・・・・・・・・」


「子供が出来たんだ・・・このままじゃいけないってずっと思ってた。ゆらに迷惑は掛けられない、愛してるから」

「えっ、子ども?・・・誰に?」


「妻に・・・」


―――初めてその口から「妻」という言葉を聞いた。
眠気は覚め、代わりに小さな震えが体を襲う。


「迷惑・・・なんかじゃないよ?」


「ゆらを傷つけたくないんだ」


「傷ついたりしないよ・・・奥さんが居たって・・・」


「・・・ゆらには未来があるだろ?」


「そんなのいいよ高志が側に居てくれるなら・・・愛してるんでしょ?」


祈る気持ちで高志に縋った。
大好きで・・・こんなに愛した人は初めてで・・・
私の全ては高志だった。


愛してるって言ってくれた。
好きだよって・・・何度も何度も言ってくれた。


高志が私を選んでくれるなら、私は他の何もいらない。
私を愛してくれるなら・・・

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