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short story
第18章 男の勲章/ haruto
苦手だと思いながらも毎日、えっちゃんとむーちゃんが気になって仕方ない。
二人は一緒に風呂に入る。
ウオーキングにも一緒に行くし、娘が出産して里帰りしててもデートにも旅行にも頻繁に出掛けていた。
「じゃあ行ってくるから」
「お土産は弟か妹だからね」
手を繋いでニコニコ旅行に出掛けるえっちゃんとむーちゃん。
俺とみなみはまだ首の座らないいちかを抱いて玄関でお見送りだ。
二人はまるで新婚旅行にでも行くかのように旅立ち、玄関が閉まると俺は人知れずホッとする。
「・・・お義父さんとお義母さん本当に仲いいな」
「そう?」
「うん・・・俺とみなみも仲いいけど」
人目がなくなり早速みなみに抱きついた。
「もう・・・急に甘えん坊」
「だって俺、みなみに触れてないと死ぬから」
「何それ、初めて聞いたよ」
みなみがクスクス笑った。
でも大袈裟な話じゃなくて、みなみは俺の生きる糧だ。
空気みたいに生きる為には不可欠な存在なんだ。
いちかを産んでみなみは少しだけ雰囲気が変わった。
母性なのだろうか・・・元々年上好きな俺はまたそれが堪らない。
えっちゃんとむーちゃんが居ない間、俺は「みなみみなみ」とみなみにベッタリだった。
可能な限りベッタリだった。
そんな状態で丸一日。
テレビを見ながらみなみを抱っこしているとふいにみなみが言った。
「もう・・・そのうちいちかに笑われるからね」
「何で?」
「パパ甘えん坊って笑われちゃうよ」
「・・・・・・・・・」
いちかを見た。
いちかは小さな布団でスヤスヤ寝ている。
「笑わない、いちかはそんな子じゃない!」
「・・・・・・・・・」
「きっとパパとママ仲いいなって喜ぶだろ」
「ふーん・・・」
「パパとママみたいな夫婦になりたいとか思うんじゃね?」
そして将来いちかが言うんだ。
「パパみたいな人と結婚するの」って・・・
むしろ「パパと結婚する!」とか言い出してみなみを困らせるかもしれない。
大分先の未来に想いを馳せているとみなみが言った。