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short story
第18章 男の勲章/ haruto
「遥斗ってお父さんみたい」


「えっ!?」


お父さん・・・お父さんってアレだろうか、むーちゃんの事だろうか・・・
黙り込む俺を気にせずみなみは続けた。


「お父さんそっくり」


「そ、そんなこと・・・」


「あるよー、だから私もお父さんみたいに奥さんを大事にしてくれる遥斗を好きになったのかもね」


「・・・・・・・・・」


「昔からお父さんとお母さんみたいな夫婦になるのが夢だったんだ」


確かに娘は父親に似た人を好きになると言うが・・・


俺は今ほど複雑な気持ちになったことがないだろう。
その気持ちの裏で悪戯に覗き込むみなみが可愛くて何だか悔しい。
しかも上目遣いで「だから好きになったのかもね」とか反則だと思う。


みなみを後ろから抱きしめた。
ママになってもみなみは無邪気に俺とのスキンシップを喜んでくれる。
まるでむーちゃんみたいに。


むーちゃん・・・


・・・そうなんだ、えっちゃんとむーちゃんの娘だからこそのみなみなんだ。
改めて気付かされた。


そしてまた、俺たちに育てられるいちかもきっとみなみのような子になるのだろう。


いちかにみなみを重ねてみると・・・


「・・・俺いちかを嫁には出せない」


「どうしたの急に!」


「無理、いちかがどんなにいい男を連れて来ても無理、絶対・・」


生まれたばかりのいちかの成長と来るべき日までを一瞬で描いたら、まだ見ぬ婿が憎たらしくてしょうがない。


どう考えても俺よりいちかを好きな奴なんてこの世にいるはずがないんだ。
生まれる前から愛しく思ってきた娘なのに・・・
それなのにいちかを俺から奪うような男がこの世に現れるなんてこと・・・


眠るいちかを見ながらどこの馬の骨とも分からない男にくれることなんて100%できないと思っていた。
どう考えても無理だ、キッパリと言いきれる!


「すげーなむーちゃんは・・・俺はいちかを貰いに来る奴が居ても絶対やれない」


そんな未来を考えただけで今からおかしくなりそうだ!


みなみは腕の中でクスクス笑ってる。


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