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short story
第21章 千の夜と一つの朝 / haruto
その日は一日みなみとイチャイチャして夕方家に帰った。


寂しい・・・
自分の部屋を見渡した。
みなみが居ないだけでこんなに寂しい。


散々みなみに触れた手を見る。
柔らかい質感は思い出せるけど現実味に乏しい。
いつでも触れられる距離に居たい。


「結婚・・・無理なら同棲とかなら・・・」


口に出した言葉をぼんやり考える。
大学生の時、彼女と同棲をしたことがあった。
転がり込んだが正解だろうか。


俺にとって同棲は余りいいものではなかった。
もちろん楽しい時も幸せな時もあったけど、喧嘩も多く辛い事の方が記憶に残っていた。


「・・・・・・・・・」


でも相手がみなみなら・・・
でも同棲はみなみの両親に無責任と取られないだろうか。
でも結婚を前提とすれば・・・
期間を設ければ・・・


でも、でも、だって・・・
散々悩んで夜が更ける。
考えなしだったあの頃と違い妙な責任感がそこにはあった。


悩み続けて一週間、また巡った週末はみなみが友だちとネズミーランドに行くために久しぶりに大輔と会うことにした。


「みなみちゃんは!?みなみちゃん!」


会った途端に大輔はみなみを探した。


「今日は友だちとネズミー」


「居ないの!?」


大輔が肩を落とす。
でもすぐに眼鏡を上げて煽るように俺を見る。


「友だちって男も居るんじゃね?」


「居ない」


「いやいや、分かんないよ」


「居ないって、女子ばっかで制服ネズミーするんだってはしゃいでたくらいだから」


「制服・・・」


キラーンと眼鏡が光る。


「知ってるか遥斗、ネズミーでのナンパ率って結構高いの」


「はぁ?夢の国だろあそこ」


俺の問に大輔がチッチッと指を振った。


「思い出せよ、可愛い子がいる場所には・・・?」


「!!!!」


みなみ!!!!


「そうだった・・・忘れてたけどお前みたいな卑劣な奴らが女の子目当てに集うんだよな」


「お前に言われたくないけどな」


しかもみなみは今日制服だ。
可愛いかったみなみを思い出したら急に心配が襲ってくる。


「でも・・・みなみに限ってナンパについてくなんてこと・・・」


「みなみちゃんが行かなくても友だちが乗り気になることだってあるだろ」


「!!!!」





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