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short story
第21章 千の夜と一つの朝 / haruto
なんという事だ・・・
確かにありえなくない。
そうなってしまったとしたら・・・場の雰囲気を壊すことを嫌うみなみは嫌だなんて言い出せないに違いない。
そして押しの強いナンパ男をかわすなんて技を残念ながらみなみは持ち合わせていないと思う。
ティッシュやビラ配りにも引っかかるくらいなんだから。
悶々する俺を見て大輔がカラカラ笑っている。
「・・・で、どこ行く?」
「ネズミー」
「・・・は?」
「ネズミー・・・行くしかないだろ」
目の座った俺に大輔がギョッとした。
「嘘、嘘だって落ち着け遥斗」
「いや、お前の言う通りだよ・・・あそこは夢の国なんかじゃない、魔の巣窟だ」
悪い男たちの影に怯えたみなみが頭の中で「助けて!」と叫んでる。
行かなければ・・・
行ってみなみを守らなければ・・・
その時アプリがメッセージの着信を知らせた。
慌てて見るとみなみからで、楽しそうな写メが貼られている。
友だちと楽しそうなみなみは相変わらず可愛いかった。
さっきの不安と心配が現実味を帯びてモヤモヤした。
「まぁ・・・俺から言い出して何だけど心配するなって。俺らみたいなのばかりじゃないし」
「だから一緒にするなって」
「さすがにネズミーまで行ったら引かれるから、心配なら帰り駅まで迎えに行けば?」
「・・・そうだよな」
速攻でみなみにその旨を打つけど既読にならない。
しばらくして来たメッセージは『遅くなるし悪いからいいよ』なんて他人行儀なものだった。
「振られたのか」
鬼の形相でメッセージをやり取りする俺を見てまた大輔が笑った。
「笑い事じゃねぇよ!みなみ怖がりなのに・・・夜プラプラ帰るなんて危険過ぎるだろ」
「まぁ・・・安全ではないよな」
「前にも飲み会帰りに一人で帰ってて・・・早足で明らかに怯えてんだよ・・・心配で後つけてたら走り出すから仕方なく追いかけて。捕まえたら驚いて腰抜かして・・・ビビりにも程があるってか」
「お前みなみちゃんの後つけたの!?」
「?」
「・・・いや、あえて突っ込まないでおくとしよう。でも後つけられて捕まえられて腰抜かすのはビビりじゃない、当たり前の反応だぞ」
「そこじゃねぇよ!とにかく怖がりなんだよ。それなのに・・・まさか・・・いや、みなみに限って・・・」
確かにありえなくない。
そうなってしまったとしたら・・・場の雰囲気を壊すことを嫌うみなみは嫌だなんて言い出せないに違いない。
そして押しの強いナンパ男をかわすなんて技を残念ながらみなみは持ち合わせていないと思う。
ティッシュやビラ配りにも引っかかるくらいなんだから。
悶々する俺を見て大輔がカラカラ笑っている。
「・・・で、どこ行く?」
「ネズミー」
「・・・は?」
「ネズミー・・・行くしかないだろ」
目の座った俺に大輔がギョッとした。
「嘘、嘘だって落ち着け遥斗」
「いや、お前の言う通りだよ・・・あそこは夢の国なんかじゃない、魔の巣窟だ」
悪い男たちの影に怯えたみなみが頭の中で「助けて!」と叫んでる。
行かなければ・・・
行ってみなみを守らなければ・・・
その時アプリがメッセージの着信を知らせた。
慌てて見るとみなみからで、楽しそうな写メが貼られている。
友だちと楽しそうなみなみは相変わらず可愛いかった。
さっきの不安と心配が現実味を帯びてモヤモヤした。
「まぁ・・・俺から言い出して何だけど心配するなって。俺らみたいなのばかりじゃないし」
「だから一緒にするなって」
「さすがにネズミーまで行ったら引かれるから、心配なら帰り駅まで迎えに行けば?」
「・・・そうだよな」
速攻でみなみにその旨を打つけど既読にならない。
しばらくして来たメッセージは『遅くなるし悪いからいいよ』なんて他人行儀なものだった。
「振られたのか」
鬼の形相でメッセージをやり取りする俺を見てまた大輔が笑った。
「笑い事じゃねぇよ!みなみ怖がりなのに・・・夜プラプラ帰るなんて危険過ぎるだろ」
「まぁ・・・安全ではないよな」
「前にも飲み会帰りに一人で帰ってて・・・早足で明らかに怯えてんだよ・・・心配で後つけてたら走り出すから仕方なく追いかけて。捕まえたら驚いて腰抜かして・・・ビビりにも程があるってか」
「お前みなみちゃんの後つけたの!?」
「?」
「・・・いや、あえて突っ込まないでおくとしよう。でも後つけられて捕まえられて腰抜かすのはビビりじゃない、当たり前の反応だぞ」
「そこじゃねぇよ!とにかく怖がりなんだよ。それなのに・・・まさか・・・いや、みなみに限って・・・」