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short story
第21章 千の夜と一つの朝 / haruto
今日の出来事をノンストップで話すみなみが微笑ましい。
腕が気持ちいい・・・


二人で歩く道はいつも短く、あっという間にみなみの家に着いて荷物を返した。


「これから・・・遥斗は一人で帰るんだよね。気をつけてね」


「大丈夫だって。今日は疲れたろ?ホラ、入れよ」


大人ぶって頭をポンポン撫でるとみなみがブーッっと膨れて俺の胸に顔を埋めた。


「今日は凄く楽しかったけど・・・遥斗が居ないからちょっと寂しかったよ」


「・・・・・・・・・」


「寂しいな・・・折角遥斗が迎えに来てくれて会えたのにもうさよなら」


「しょうがないだろ?」


胸がギュッと締め付けられて、前を見たまま甘えるみなみを抱きしめた。


「遥斗もウチに住む?」


「マスオさん?それもいいけどみなみと好きな時にイチャイチャできないし」


「じゃあみなみが遥斗ん家に住もうかな」


「それも好きな時にイチャイチャできないから」


・・・一緒に住んで居れば離れることなくこのままみなみと過ごせるのに。
近所の目やいつかみたいにみなみの親父さんが帰って来ないか気になってみなみを離す。


「おやすみ」


「うん、今日はありがとう・・・本当に気を付けてね」


したかったキスも我慢してみなみに背を向けた。
ずっとみなみが俺を見送ってくれていて、曲がり角で振り向いて手を振った。




結婚・・・
同棲・・・
結婚・・・


その日から更に頭の中はみなみと暮らすことでいっぱいになった。
昼休み、賃貸物件情報を見ながらぼんやりと二人の生活を思い描く。


「・・・ワンルームは狭いよな。この辺ならちょっと通勤にかかるけど駅も近いしいいかも」


朝起きるとみなみが居る、疲れて帰ってもみなみが居てくれる。
俺のために猛勉強中の料理を二人で食べてイチャイチャしながらテレビなんか見て。


・・・そんな妄想をしていたらたまらなくなってガン!とデスクに頭を叩きつける。


「ど、どうしたんだ山下!?」


「何でも・・・何でもないです・・・」


結婚じゃなくてもいい、一緒に暮らそう。
みなみが卒業したらすぐに・・・













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