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short story
第4章 私を海に連れてって♡/haruto
「みなみ・・・結婚しよう」


「・・・・・・・・・」



ドラマや漫画ならヒロインはここで起きて「うん」なんて涙ぐむのに、俺のヒロインは気持ち良さそうにスヤスヤ眠っていた。
当然起きる気配もない。



「・・・緊張し損かよ」


一気に脱力。
みなみが相手だとどうも格好いいばかりではいかない。
でも、そんなとこもどうしようもなく好きなんだと思う。







―――波の音が繰り返す。
太古の昔より変わりなく繰り返されてきたこの音みたいに、俺とみなみも永遠に続く関係でありたい。



こうして俺のプロポーズは失敗に終わった。
でも・・・結婚はまだ早いとしても、みなみが卒業したら一緒に暮らしたい。



仕事から帰ったらみなみがいて、こうやって毎晩抱いて眠りについて・・・
そんなことを考えていたらいつの間にか俺も眠っていた。




朝になり、波の音で目が覚める。
みなみはまだ寝ていた。


ノーメイクのいつもより幼い寝顔があまりにも無防備で、昨夜の緊張を思い出したら悔しくなった。
・・・と言っても俺が勝手にした賭けなんだけど。


悔しいからほっぺたをつつく。
それでも起きないから今度はみなみの頬を指で挟み押して、くちばしみたいに唇を尖らせた。



「・・・ブッ」


ピヨピヨと頬を押して唇を操り遊んでいると、やっと重そうな瞼が開く。


「何ひてるの・・・?」


「ん?みなみが起きないかなって遊んでた」


「んー・・・やめへー・・・」


そう言いながらされるがままのみなみ。
頬から手を離すと額と額をくっつけた。


「おはようみなみ」


「おはよ・・・」



そしておはようのキスをする。
幸せな朝だと思った。



「今日は観光だろ?そろそろ起きようぜ」


「うん・・・じゃあその前にもう一回キスして?」


みなみの可愛いお願いにすぐ応えると、少し恥ずかしそうにみなみが笑った。


「ソフトクリーム食べようね」


「はいはい」


「あとお昼は海鮮丼とー、イカスミ饅とタコ饅は半分こしようね」


「分かった」


「お土産も買わなきゃね。なんかね、美味しいバームクーヘンがあるんだって」


「うん」






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