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short story
第5章 あゆみおねえさんといっしょ/ayumi
相変わらず一ノ瀬さんは操縦しやすくて助かる。
お母さんに呼ばれ一ノ瀬さんはキッチンへ。


「しかし商売が上手いよな」


ネクタイを取りいくつかシャツのボタンを外した遥人がソファに座るといちかが遥斗の膝によじ登る。
どうしようもない弟だけどいちかは「パパ」が大好きらしい。


膝の上にに辿りついた達成感から満足そうにパパに抱きつくいちか。
遥斗はそれを当たり前みたいに受け止めて無意識に頭を撫でている。


「本当ね・・・親心をよく突いてると思うわ」


「親ってより誰かさんみたいな親類の方が真剣なんじゃね?」


「アンタたちはお金ばっか気にして本当に大切なものを見落とし過ぎよ」


「金大事だろ!?」


遥斗と言い合いながら遥斗の膝のいちかが安心し切った顔で可愛いなって思ってた。


私たちの父親は単身赴任でいつも居なくて・・・
たまに帰って来ても子供と遊んでくれるような父じゃなかったからその光景が羨ましくもあり、子供と近い関係を築けた遥斗が嬉しくもあった。


私たちだっていちかが居なかったらこんな風に話したりしてないと思うし・・・まず皆で出掛けたりなんて絶対しなかった。


「いちか、もうすぐじいじ帰って来るんだってよ」


「親父来んの?最近よく帰って来るな」


「そう、明日来るんだって」


いちかにとっても「山下のじいじ」は余り馴染みがないと思う。
お父さんが子どもの相手をするなんて思えないし・・・お母さんが気を使っていちかをお父さんに近づけないんじゃないかしら。


でもいちかにしてみれば紛れもない“おじいちゃん”だし・・・


キョトンとして私の話を聞くいちかに訊ねた。


「じいじが来るときいちかもばあばんちお泊りする?」


「しない」と言われること前提で聞いた質問は・・・


「・・・うん!」


まさかの答え。


「無理だよ泊まりなんて」


「・・・お泊りする」


「パパもママも居ないんだぞ?いちか誰と寝るの?」


「ねえねと寝る」


「!!!!!!」



いちか!!
そんなこと言われたら私・・・



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