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short story
第6章 ノスタルジックオレンジ/ haruto
「・・・ねぇ、もしかして私のこと口説きたいの?」


日和さんが直球を投げつけた。


「正解っス」


「無理無理」


「何でですか?」


「私年下とか無理だから」


そして日和さんは煙草に火をつけた。
慣れた仕草で紫煙を吐き出し早くあっちに行けと言葉を早める。


「・・・年で決められるのも納得いかないですね」


「ある程度決まるって」


「俺包容力ある方ですよ」


言葉なんて言ったもん勝ちだ。
多分歴代の女たちが聞いたら失笑するだろうけどそんな俺を知る奴はここでは大輔しか居ない。


「包容力ねぇ・・・」


「とりあえずメアド交換とかしてみません?」


「私メールとかしないし」


「えっ?」


「あんなチマチマ打つの面倒臭い」


「・・・・・・・・・」


男というものは未知の領域を目の前にするとどうしてこうも惹かれるのだろうか。
日和さんは俺の知ってる女たちとは違った。


ビールをグビグビ飲んで煙草を吸って・・・
それが俺には飾らない大人の女に見えた。


また唇がセクシーで、彼女が煙草を吸う唇から目が離せない。
この俺が歯がたたないところもまた魅力的だった。


新歓の席で俺は日和さんの側を離れなかった。
口説けない女も初めてだった。





ノリのいいこのサークルの飲み会は皆いい感じに酔っていて、解散後チラホラとカップルで散っていく人たちも見える。


「日和さん送りますよ」


もちろん俺は日和さんと二人になるのを狙っていた。


「いいよ別に」


「俺、日和さんと方面一緒なんで」


「知らないでしょ・・・ウチ」


「いやいや、俺エスパーですから」


「怖いし・・・」


少しの押し問答があって、日和さんが折れた。
周りの先輩が俺に加勢してくれたせいもあるかもしれない。



「幸せになれよー!」


背中を押してくれた先輩たちに手を振り日和さんと並んで歩く。
夜の空気は春の匂いがした。








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