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short story
第6章 ノスタルジックオレンジ/ haruto
目が覚めると日和さんがいない。
起き上がり見渡すとベランダに続くカーテンがゆらゆらと揺れている。


「日和さん」


カラカラと窓を開くとそこには煙草を吸う彼女がいた。
素肌にシャツだけ身につけて、まだ朝早い街を眺めながら日和さんが煙を吐き出す。


「おはよう日和さん」


後ろから抱きしめると少し煙たそうに彼女はまた煙草を吸う。


「・・・すげー良かったよ」


「ふーん」


「日和さんは?そうでもなかった?」


あれだけヨガってたんだ、良くないわけないだろう・・・
それなのに日和さんは素っ気ない。
日和さんと身体を重ね、俺は更に日和さんに惚れてしまったというのに・・・



「30点」


「えっ?」


「前戯はまあまあ良かったけど全然ダメ。独りよがりでオナニーみたい」


「・・・えっ、日和さんあれだけヨガってのに?」


「私の事見てないでしょ。どうしたらもっと私が気持ち良くなるか、私がどうして欲しいと思ってるか・・・ちゃんと考えながらシてよ」


「・・・・・・・・・」


「確かに気持ちは良かったけど心まで溶けなかった」



――――スゲー・・・初めてエッチでダメ出しされた・・・
結構凹むモンなんだなと冷静に思いながらギュッと腕に力を籠める。


「なら彼氏にしてよ。恋人になって心から繋がればセックスでも心から溶けると思うけど?」


「関係ないの。恋人じゃなくたって溶かしてくれる人は居るし・・・エッチに不満がある人とは付き合えない」


「・・・・・・・・・」


「大事でしょ?セックス」



それは確かに。
でもそこまでセックスばかりを重要視しなくても・・・
そんな事を思いながらも俺にとっては刺激的な夜だったわけで。
そんな日和さんをやすやす諦められないと、必ずリベンジするからその時は考えて欲しいと・・・その日から俺たちは「セフレ」に近い関係になっていった。


俺の求愛はセックスであり、彼女もそれを求めた。
交わりの中で日和さんはどうしたらもっといいのかを手とり足とり丁寧に教えてくれた。


日和さんに一人の女だけだとつまらなくなるから他の子とヤって来いと言われ・・・
何度か試したこともあった。
でも日和さん以上に燃えることは無かった。







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