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short story
第6章 ノスタルジックオレンジ/ haruto
それからしばらくした頃、姉貴に呼ばれた。
てっきり家に来いと言われるとばかり思ったら、姉貴はとあるカフェを指定した。


言われた通りに行くと怖い顔の姉が居た。


「単刀直入に言うけど・・・あの女とは別れなさい」


「あの女って・・・」


「知ってるんだからね、お母さんが心配するから昨日アンタの彼女の家に行ったんだから」


「どこで調べたんだよ・・・」


「アンタの友達捕まえたのよ。そしたらあの女・・・さ、さ、3Pしてたのよ!しかも玄関で!!」



3P・・・
嘘だと疑わず受け入れてしまったのは悪行の積み重ねのせいだろう。
でも3Pって・・・もうここまで来ると笑える。
昔の俺も大概だったけどさすがにそれはしなかった。


「人がセックスしてるのなんて初めて見たわよ!アンタ浮気されてんのよ!」


「・・・うるせーよ」


そんなん前から知ってるし。


「しかも“誰?”とか煙たそうに人の事見て・・・何なのよあの女は!」



それから姉貴はガミガミとまくし立て、「別れろ」と念を押して帰って行った。


「・・・別れろって言われて別れられたら楽なんだよ」


授業がなくなった日和の行動は今まで以上に分からなかった。
就活もしてるんだかしてないんだか・・・
俺が帰ればバイトだか遊びだか居ないことも多かったし、電話も通じないし・・・もちろんメールなんて返事すらないし。


一緒に暮らしても分からない事って多いんだな・・・
カフェに差し込む日差しはあの日のオレンジで、日和を好きだという気持ちだけが胸に落ちる。


日和の居ない部屋に一人で居るのは辛かった。
他の男と寝たベッド、他の男が居た空間・・・日和が他の男に抱かれた時間を考えずには居られないし、今日和が何をしてるのか・・・悪い方ばかりに考えが向いてしまうから。


それでも帰って来れば嬉しいし、喧嘩しなければ楽しかったし・・・
ただこの関係が長く続くものではない事は薄々感じていた。










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