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short story
第8章 君に恋してる / minami
遥斗は何だか怒ってる。
ううん、怒ってると言うよりは拗ねてるような・・・



「・・・何でこんなとこに居るの?」


「飲み会・・・心配だから」


「わざわざ来てくれたの?何時に終わるか分からないのに?」


今度は少しバツが悪そうに見える。


「最近・・・みなみ変だし・・・好きな男でもできたんじゃないかって・・・」


ポツポツ話す遥斗に胸がキュンとする。
それでわざわざ来てくれたの?
本当に?


「変じゃないよ・・・」


「けど毎日あったメールもないし電話も出ないし・・・素っ気ないし・・・」


「変じゃないよ!みなみ遥斗にとって重いのかなって我慢してたの!」


こんな時、泣いてしまう私は我ながら子どもだ。
遥斗は「えっ?」という顔で私を見てる。


「だって・・・いつも遥斗は門限通りに帰そうとして・・・みなみは門限なんて破ってもいいのに。遥斗と一緒居たいのに・・・み、みなみばっか好きみたいで・・・」


「・・・・・・・・・」


「メールだって毎日“大好き♡”とかウザイかなって・・・だから遥斗が追いたくなるような女になろうって・・・」


遥斗は少しの間黙ってフーッと大きく息を吐く。


「・・・あのさ、みなみ・・・俺がみなみの門限守らせる理由なんて一つしかないんだけど」


「理由?」


「そう、みなみの親御さんにいい加減な男と付き合ってるって思われたくないからだよ」


涙腺決壊。
遥斗の気持ちを聞いたらボロボロ溢れて止まらない。


「みなみが親とした約束なら守らせるのが筋だし・・・メールだって・・・重いなんて思った事無いし」


「本当に?」


「本当。俺はどっちかって言えばみなみには重いくらい好きって言って欲しいから・・・メールがなくなって逆に不安だった」


「み・・・みなみばっか好きなのかなって・・・遥斗はいつも冷静だから・・・」


不安だったの・・・
そう言うと遥斗がギュッと抱きしめてくれた。


「・・・馬鹿だな。俺有り得ないくらいみなみが好きなんだぜ?」


「でもみなみの方が絶対好きだよ」


「そんなことないよ・・・俺がこんな風に考えるのみなみくらいなんだからな」


遥斗の声は始終穏やかで優しかった。
そこには愛が滲んでて、理屈じゃなくて愛されてるんだなって感じた。



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