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蜜恋~お義父さんとは呼べなくて~④牡丹の花の咲く頃には
第14章 真実
 拝礼を終えると、トスは覚束ない足取りで立ちあがった。ここに来るまでの憑かれたような雰囲気は消え、打って変わって側から支えなければ、すぐに倒れてしまいそうな危うさがある。全く、いつも隙のない抜き身の刃のような鋭さは微塵もなかった。 
 トスは、ただ海からの風に吹かれて立ち尽くしている。町中まで行くとそうでもないけれど、寺の周辺は海の間近ゆえ、風には潮の香りが混じっているのだ。いつかこの町に来る前、トスが話していたことは本当だった。
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