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蜜恋~お義父さんとは呼べなくて~④牡丹の花の咲く頃には
第15章 心のありか
シヨンと名乗った女は哀しげに微笑んだ。
「では、トスおじさんが仏像を彫るのは―」
キョンシルは皆まで言えなかった。
「亡くなったチョンスの供養だと思います」
シヨンの消え入りそうな声が続く。
トスの拵える観音像は、海辺の寺の本尊に似ていた。小さな木彫りの仏像を彫りながら、彼の心にはいつもあの泣いている表情をした観音仏が浮かんでいたのだろうか。
「私はそのときの出来事が原因だったのかどうかは判りませんが、その日の夜に産気づいてしまいました」
「では、トスおじさんが仏像を彫るのは―」
キョンシルは皆まで言えなかった。
「亡くなったチョンスの供養だと思います」
シヨンの消え入りそうな声が続く。
トスの拵える観音像は、海辺の寺の本尊に似ていた。小さな木彫りの仏像を彫りながら、彼の心にはいつもあの泣いている表情をした観音仏が浮かんでいたのだろうか。
「私はそのときの出来事が原因だったのかどうかは判りませんが、その日の夜に産気づいてしまいました」