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あなたとの『愛』の続きを
第4章 名前のないヒーロー。
「何考えてるんだろ…」
都会の暗い空を見上げる。
星は靄がかかって綺麗とは言い難い。
「寒い…」
身震いをすると、後ろからコートがかけられた。
振り返ると…優太郎君だった。
「まだ夜は…冷えるよ。」
「あ、ありがとう…」
「今日はそんなに、酔ってない。ごめん。」
さっきまでヘラヘラと笑っていたのに…。
眼鏡の奥の深い瞳が揺れる。
少し垂れた…優しそうな瞳。
「…ねぇ。今度…デートしてくれない?」
「えっ?私と?」
「うん。俺、葵ちゃんが好きなんだ。」
…好き?私が…?
そこに立った優太郎君が私の手を握る。
その手の温かさに胸が少し高鳴った。
…頭の片隅に違う誰かを思い浮かばせながら…。