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あなたとの『愛』の続きを
第4章 名前のないヒーロー。
家に着き、コートから携帯電話を取り出す。
その瞬間…バイブが手の平で携帯を震わせる。
さっきかけた…あの番号。
そっと携帯を耳に当て、そと声の主を
探った。
「…やっとかけてきたか。」
優しい声の主は…どこかで求めていたそのもの。
「……やっぱりあなただったんですね。」
…胸が痛い。
…胸が。
さっきとは違う。
恐怖ではなく熱く…脈打つこの体。
「…どうした?」
「え?」
「…声が震えてるぞ。何か…あったか?」
たった一度、会っただけの人なのに…
どうしてそこまで勘付いてくれるの?
…どうして…心配してくれるの?
「…何も。」
そう、薄っすらと笑うと
彼は「そうか…」と少し声を細めた。
「悪いが…まだ仕事中なんだ。
また…連絡しろ。」
時計を見るともう22時が回っている。
「じゃぁな…」と電話を切ろうとする彼に
咄嗟に叫んだ。
「あのっ…」
「ん?」
「…名前、教えて下さい…」
少しの沈黙の後、
彼はゆっくりと答えてくれた。
「…竜…とだけ言っておこう。」
そして…そこで電話は途切れた。