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あなたとの『愛』の続きを
第5章 ヒーローの正体
午後からの診察は人も少なく、そこまで
忙しくはなかった。
誰もいない待合室では
やはり話題は私の事。
「20時でしょ?楽しみね〜」
京香さんがパソコンを打ちながら笑っている。
「はい…」
待ち遠しいのか顔に出ているとでも言うように
他の二人は私を見てニヤニヤと、笑っている。
すると、患者さんが入ってきて
私達はお喋りをやめその人に挨拶を交わす。
「こんにちは」
白髪のおじいさんがゆっくりとこちらに歩いてきた。
「初めてなんだけれど、大丈夫だろうか?」
そう微笑まれ、自然と私も笑顔になった。
「はい。大丈夫ですよ。
健康保険証と…問診票に記入していただけますか?」
優しそうなおじいさんは頷き
ソファーに座り問診票を書いている。
そして、それを提出すると
また、ソファーへと戻っていった。
身なりはきちんとしていて…
どうみても高級そうなジャケットを身にまとっている。
白髪が逆にとてもカッコいい。
しばらくして…
「竜崎さん、診察室へどうぞ」
そう呼ぶと…おじいさんの目が私に向けられた。
…その目は…何処かで見たことがある。
射抜かれるような錯覚…。
優しく笑うとおじいさんは診察室へと入って行った。