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あなたとの『愛』の続きを
第5章 ヒーローの正体
そのおじいさんの診察が終わる頃には
何人か患者さんが来ていた。
「竜崎さん、本日は550円です。」
千円を取り出し、おじいさんは私を見つめた。
「…?」
「君は、笑顔が素敵だね。」
「あ、ありがとございます…」
「…孫もこう言う人を嫁に貰ってくれたら
私も安心して死ねるんだけれどね。」
すると横から京香さんが顔を出した。
「おじいさん、孫さんがいるんですか?
おいくつです?」
「確かもう30になる。
自由気ままにしておるよ。」
「男の人はそんなものですよ。」
京香さんが笑うとおじいさんも笑っていた。
おじいさんが帰ると、京香さんは私に耳打ちする。
「あの、おじいさん…絶対金持ちでしょ?!」
「そうですね…」
「孫…合コンしないかしら」
「……ハハハ…」
そして、定時の18時半。
「終わった〜!ほら!葵ちゃん!帰って!」
「えっ!?良いですよ!?
まだ仕事が…」
「何言ってんの!デートでしょ!?
遅れて振られても知らないわよ!」
「…すいません。」
舞にも謝ると、舞も手を振って見送ってくれた。
約束の20時…
私は前と同じBARにいる。
一人でまだカウンターに座って
ソフトドリンクをゆっくりと飲んでいた。
すると…
「葵。」
耳に届く…電話越しに聞いた声。
振り返ると…
「竜さん…」