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あなたとの『愛』の続きを
第5章 ヒーローの正体
静かな雰囲気が、私たちを包む。
狭いカウンターは隣同士で座ると
時々肩が触れ合った。
「仕事は…落ち着いたの?」
「あぁ。片付けてきた。
しばらくは…落ち着く。」
薄暗い照明の中で
彼の横顔が見える。
伏し目がちの目は…
とても男っぽく…時に艶めいている。
長い睫毛は…
羨ましいくらい。
「葵…お前は俺の事は聞かないのか…?」
下に視線を向けたまま、彼がそう呟いた。
…聞きたくない訳じゃない。
でも、聞いてはいけない気がしていた。
「お前は俺の何を知っている?
…俺は葵の事は…何でも知っているつもりだ。」
「…何でも…?」
その問いに彼は少し笑った。
「いや…言いすぎたな。」
「私は竜さんの事を、何も知りません。
…でも知りたい…」
そう答えると彼は優しい顔で
私をまた見つめた。