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あなたとの『愛』の続きを
第5章 ヒーローの正体
「少し、席を外す。」
そう言って立ち上がり…
彼はトイレのある方向へと歩いて行った。
彼な完全に見えなくなると、私は大きな溜息を零した。
目の前に立つマスターがクスッと笑う。
「難しいですね、恋愛って。」
「難しいからこそ…楽しいのではないですか?」
グラスを拭きながら柔かな笑顔を向けてくれる。
「あの方は…とてもお優しい方です。
人相や風貌は…少し怖いところもありますが。」
「そうですね…あの…竜さんって
よくここを使われるんですか?」
「そうですね…会長様がこちらを経営されてますので…
よく、来られますよ?」
……会長様…?
「あの…会長様って…」
そう聞こうとした時…
右隣から声がした。
「あれ?葵ちゃん…?」
その声に一瞬ドキッとして、振り向いた。
やっぱり…そこには…
「優太郎くん…」
「ここ、使ってくれてたの?
…1人?」
「いや…違うけど…」
「まさか!舞ちゃん?
今日は奈央も連れてきたんだ。」
爽やかな笑顔を向けて
何食わぬ顔をして…私の隣の椅子を引く。
その様子にマスターが間に入ってくれた。
「この方には男性のお連れ様が一緒ですので…
すいませんが…。」
その言葉に一瞬、優太郎君の顔が曇ったが
すぐにごめんね…と一つ席を空けて座った。