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あなたとの『愛』の続きを
第5章 ヒーローの正体
「あぁ…菊池。お前には礼を言わないとな。」
「えっ?礼…ですか?」
「あぁ…」
「こうして、葵といられるのと
菊池。
お前が葵を路地裏に連れ込んでくれたおかげだ。」
「竜っさん…」
真っ青になった優太郎君と…
へぇ…と驚いた顔の奈央君。
「まさか…優太郎を殴ったの…副社長ですか…?」
「あぁ。」
竜さんは平然と表情一つ変えずに
カラカラとグラスの中の氷を鳴らしている。
「すっ…すいません…っ!」
深々と頭を下げる優太郎君を
見ようともせず、竜さんはフッと笑った。
「怒っちゃいねぇよ。
礼を言わないとなと俺は言っただろう?」
顔を上げた優太郎君がえっ?と声を出すと
やっと、彼は視線を合わせた。
「葵と出会えて、良かったって事だ。
…なぁ、菊池。
もう手を出すなよ?」
無邪気な笑みを浮かべ
残りのウィスキーを喉へと流し込んだ。
この…余裕のない優太郎君と…
余裕たっぷりの彼との違いは
何なんだろう…
いたたまれない気持ちで私は優太郎君の
下げた頭を見つめた。