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あなたとの『愛』の続きを
第5章 ヒーローの正体
何も言わず、ただ進んでいく彼の背中を見つめながら
私もその背中についていった。
そして、一つのドアの前で止まると
持っていた鍵で、ドアの鍵を開けた。
「どうぞ。」
その低い声が聞こえ、私も中へと入る。
入ると、そこはリビングとキッチンが
一緒になっていて大きな部屋が広がっている。
20階ともなれば外の景色も最高なくらいに綺麗だった。
無駄なものはないほどに整頓されている。
「そこにでも座っておけ。」
L字の大きなソファーを指差され
私は静かにそこに腰をおろした。
フワフワで包まれているようなソファーだった。
彼がキッチンでコーヒーを入れる音が聞こえる。
コポコポとコーヒーメーカーのお湯が
音を鳴らしていた。
辺りを見回しても…
彼の生活感はわからない。
仕事に関するものも…何も置いてはいなかった。
彼が白いコーヒーカップを置くと
私の横に座る。
この広い部屋で、彼が距離を開けずに
隣にいてくれることが…
何故かとても嬉しかった。