この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
あなたとの『愛』の続きを
第6章 立ちはだかる障害
「いい人だよ。」
そう言うと目の前のビールを流し込む。
「あぁ。いい人だな。」
奈央君もそれしか言わない。
「なにそれ?」
不満そうに舞が真司くんに詰め寄る。
「本当に…そうなんだよ。
…その、欠点がないって言うか…
威張ってるわけでもないし…部下思いだし。
言うなら、無愛想で強面ってとこか」
「本当だよな。女にも優しいからモテるし
憧れの上司だよ?
…葵ちゃんが惚れるのも解るけど…
…辛いと思うよ?」
「何がよ?」
「あの人の秘書も女だ。しかも美人ときた。
残って仕事してること多いけど…いつも女が来る。
差し入れだの何だの。
断らないのが…あの人だ。
葵ちゃん…何も知らないまま、ハマっていけば
…あの人からは抜け出せない。
あっちも最高だって話しだぜ?」
奈央君の言葉がグルグルと頭を駆け巡る。
「もうっ!奈央君!葵を虐めないでよ!」
「…葵ちゃんのためだよ。俺たちは何人も見てきた。
抜け出せなくて…泣き崩れる女たちを。」
「…っ!奈央君。その話…聞かせて」
私の初めて口にした言葉だった。
…聞いたって何にもならないことはわかっている。
けど…これは嫉妬だ。
彼の過去に嫉妬する、私の醜い心だ。