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あなたとの『愛』の続きを
第6章 立ちはだかる障害
一番上の階。
茶色の立派なドアの前に奈央君は立った。
コンコンとノックをすると、
あの低い声が聞こえる。
「誰だ。」
「新井です。お客様を連れてきました。」
「…入れ」
ガチャとノブを回すと、その扉が開かれる。
その奥の彼は忙しそうに、
パソコンと書類を交互に見てこちらへは
視線を向けようとはしない。
「こんな時間に客を連れてくるとは…
お前も大したもんだな。」
「副社長が喜ぶかと思いまして。」
「あっ?」
その声と共に彼の視線が上げられた。
時が止まっているかのようだった。
彼の目が少しだけ見開いた。
「…葵。お前…何で」
「…ゴメンなさい…」
咄嗟にでた言葉は謝罪だった。
はぁ…と溜息をつく彼にビクッと肩が震えた。
「新井。下がってくれ。」
奈央君が部屋から出て行くと、
彼は立ち上がり私の前まで歩いてくる。
手が伸び、目を瞑る私に
彼はフッと小さく笑った。
「怯える子供のようだな。」
「えっ」
目を開いた私の目に写るのは
優しく微笑む彼の顔。
「…会いたかった」
そう耳元で呟かれた言葉。
すぐに抱きしめられてその温もりが
嘘でないことを証明していた。