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万華鏡
第2章 視姦
何気ない気持ちで顔を横に向ければ、いつも静かに読書している男の人の姿が目にはいる。
自ずと頻繁に会う人達の顔を覚えてしまうのは仕方のないことで。
ネクタイとリボンの色で学年が解ってしまううちの高校。
今年の新入生達は赤いタイとリボン。私達の学年は青。三年生の先輩達は濃い緑色のそれで。
その先輩が、身に着けていた色は、濃い緑色のそれだった。
ーー 先輩だったんだ‥。
いつも物静かに。カウンターに背を向けて本を読んでいる姿からタイは見えなくて。ちゃんと顔も見たこと無かったんだけれど。
でも‥。少しだけ気になっていた。
黒いメガネをした先輩は少し冷たそうで。
サラサラした黒髪に、白い肌。長い睫毛。とても綺麗な男の人だった。
「何?人のことジロジロ見て」
その先輩の声に、無意識に自分がじっと見つめていたことに気づいた。
「あっ‥、すみませんっ‥!」
思わず私は謝って。
誰だって、知らない人間にジロジロ見られたら、気持ち悪いよね‥。
先輩は、どうでも良さそうな態度で立ち上がり、机の上に上がっている本を手に取って、カウンターへ向かった。
自ずと頻繁に会う人達の顔を覚えてしまうのは仕方のないことで。
ネクタイとリボンの色で学年が解ってしまううちの高校。
今年の新入生達は赤いタイとリボン。私達の学年は青。三年生の先輩達は濃い緑色のそれで。
その先輩が、身に着けていた色は、濃い緑色のそれだった。
ーー 先輩だったんだ‥。
いつも物静かに。カウンターに背を向けて本を読んでいる姿からタイは見えなくて。ちゃんと顔も見たこと無かったんだけれど。
でも‥。少しだけ気になっていた。
黒いメガネをした先輩は少し冷たそうで。
サラサラした黒髪に、白い肌。長い睫毛。とても綺麗な男の人だった。
「何?人のことジロジロ見て」
その先輩の声に、無意識に自分がじっと見つめていたことに気づいた。
「あっ‥、すみませんっ‥!」
思わず私は謝って。
誰だって、知らない人間にジロジロ見られたら、気持ち悪いよね‥。
先輩は、どうでも良さそうな態度で立ち上がり、机の上に上がっている本を手に取って、カウンターへ向かった。