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万華鏡
第1章 日本酒と愛しい貴方と
『 大吟醸 まんさくの花 』
仕込んだ酒を一本一本瓶詰めして。
その状態で蔵の中で低温貯蔵し、ひと夏以上ゆっくり寝かせて休ませてから出荷する『熟成酒の蔵』として知られているのよ。と、酒蔵開放に友達と行ってきた母が力説していたっけ‥。
熱燗も良いけれど。なんだか今日は冷やで行きたい気分。
うふふ。なんだかいい感じ。
酒瓶の蓋を回し開けて、冷酒用の江戸切子の硝子のお猪口に注ぎ入れる。
トクトクトク‥。
ーー‥ いい音。そして拡がる華やかな香り。
透明なその液体がお猪口を満たしていく様は、口に含む瞬間を期待させる。
ひとくち、ゆっくり口に含み唇を合わせて。
舌の上で転がし味わう。
「ん! 美味し ‥。」
家に常備している日本酒よりは幾らか辛口なそれはスッキリした味わいで。
ー‥ 効くなぁ。これ。