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万華鏡
第2章 視姦
本を拾い上げた先輩は‥
私の記憶の中の先輩とは別人みたいな穏やかな顔で微笑んでいて。



その微笑みが少しだけ怖かった。



先輩は拾い上げた本を揃えて。
その本を私に渡してくれるのかと思ったら、ひょいと上に上げる。



届かない――。



「蒼斗先輩?」



本を返して欲しくて顔を上げたら、私を見ている先輩と目が合う。



「この本好きなの?」



私はうんと頷くしかなくて。



まさか、貴方に憧れて貸し出しカードを追ってました、なんてストーカーみたいだし。口に出来なくて。



きっかけはどうあれその本が読みたかったのは本当だから。




「好き‥です。」



そう答えた。



その答えに、先輩ははにかむ様に――。

「俺も好き。」

そう言って笑った。




*****




あれから図書室で会う度に蒼斗先輩と声を交わす様になった。



今読んでる本や、お薦めの本の話。



次第に仲良くなっていき、図書室以外で偶然会ったりした時もお互いに、声を掛ける様になって。

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