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英里を調教
第19章 エクストラ・ストーリー5 体育教師の身体検査
「失礼します。沢田です」
「来たか、入れ」

 野太い佐上の声に促されて、中に入った。
 他の教師はいない。

 体育教師は運動部の顧問もやっているから、多分皆、部活に出ているのだろう。

「何の用でしょうか?」

 ほとんどはじめて言葉を交わす佐上は、柔道家らしく、厚い胸板に太い腕、がっしりとした下半身を持っている。
 体重は英里の倍はあるかもしれない。

 その毛深い腕が、来客用の粗末なソファを指す。
 来客用といっても、ほとんどが体育教師の息抜き用に使われているそれは、あまり座り心地はよくなく、英里をより落ち着かない気分にさせる。

 佐上も英里の隣に座る。
 英里は場所を空けるように、体を離した。
 体が大きくて強そうで、いかにも男臭い佐上のようなタイプは英里は少し苦手だ。

「まあ、用というかな。ちょっと聞きたいことがあってな」
「…何でしょうか?」

 英里は体を固くする。

 もしかしたら、旧体育館でのことがバレてしまったのではないのか、と。
 
 しかし、佐上が言ったのは全く違う、ある意味ではもっと驚愕的なことだった。

「ネットでな、お前らしい人物の裸の画像があってな」
「…え?」
「裸だけじゃなくて、性交の写真もある。それらを詳しく書いた小説のようなものもある。
 一応教師として、お前じゃないのか確認をしなければいかん」

 佐上が見たのは、達也が温泉旅行で知り合った『小説サークル』が運営するサイトだ。
 温泉旅行でのソープまがいのプレイや、その後の達也や志穂を交えての乱交や、『秘密のサークル』で撮影された画像もある。

 実は達也は動画で『秘密のサークル』での英里や理沙との行為を撮っていたのだが、さすがに毎日のように送られてくるそれらに『小説サークル』の画像の編集が追いつかなくなり、顔を隠す程度の修正しか出来なくなっていた。

 英里は、そのサイトのあることを知らない。
 撮られた写真や動画は、達也が一人で、もしくは『秘密のサークル』のメンバーの中だけで見られているものと思っている。
 なぜなら、それらが下手に流出してしまえば、達也だって退学の危険があるからだ。
 今までバレなかったことを考えれば『小説サークル』の編集、修正がよほど巧みだったのだろう。
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