この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
回想ディスコ
第2章 「裕子の場合」
その男は、バーカウンターから私を見ていたの、ずっと。
人ごみは隙間だらけってくらい空いてたから、
ホールの真ん中からもバーカウンターがよく見えてた。
かっこつけてカウンターに背中をあずけ両肘も乗せて。
私はお気に入りの曲に合わせてノリノリに踊ってて、
あっちの方向こっちの方向って向きを変えてたんだけど、
バーカウンターにむかった時には必ず、男はこちらを見ていたの。
私もだんだん気になり始めて・・
男に体を向けて踊り続けたの・・・
突然ライトが落ちて真っ暗闇。
次の瞬間ミラーボールがせつなげな光をばらまき始める。
いよいよチークタイムの始まり。
いっせいにホールから人が消えていく。
中央には2組の男女だけになって、私も壁際から眺めていたら
右側から声がしたの。
「あの・・僕と踊ってもらえませんか?」