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回想ディスコ
第2章 「裕子の場合」

その男は、バーカウンターから私を見ていたの、ずっと。
人ごみは隙間だらけってくらい空いてたから、
ホールの真ん中からもバーカウンターがよく見えてた。
かっこつけてカウンターに背中をあずけ両肘も乗せて。

私はお気に入りの曲に合わせてノリノリに踊ってて、
あっちの方向こっちの方向って向きを変えてたんだけど、
バーカウンターにむかった時には必ず、男はこちらを見ていたの。
私もだんだん気になり始めて・・
男に体を向けて踊り続けたの・・・


突然ライトが落ちて真っ暗闇。
次の瞬間ミラーボールがせつなげな光をばらまき始める。
いよいよチークタイムの始まり。
いっせいにホールから人が消えていく。
中央には2組の男女だけになって、私も壁際から眺めていたら
右側から声がしたの。


「あの・・僕と踊ってもらえませんか?」

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