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回想ディスコ
第2章 「裕子の場合」
一拍間をおいてから声の方に顔を向ける。
さっきの、あの男だ。
バーカウンターから私を見ていた、あの男・・

近くで見ると、顔は可もなく不可もなく。
襟足にかかるくらいの髪がちょっと色気をかもしだしていて。
なにより、口元がセクシーだった。
くっきりとした唇、微笑んでいるからか端がキュッと上がっていて。
その唇に興味を持てたから、OKしたの、踊るのを。


「私でよろしければ・・お相手するわ」

差し出した右手をとった彼は、もう片方の手で
私の腰を押すようにしてホールの真ん中に進んだの。

スローバラードにのせて、彼は私の体をピッタリと自身の体に密着させて
両手で私の腰を抱き、漂うような動きで体を揺らした。

耳元には彼の熱い息が吹き続けられ、
しだいに私も男の胸に顔をうずめるようにして
彼の頬を髪でくすぐった。


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