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アンバランスなsweet
第12章 絡んだ糸のように
誰もいない筈の廊下で、急に名前を呼ばれる。
無防備な心の状態のまま。


私の名前を呼ぶ声に。




――――胸が‥ドキンとした。



「ふふ。紫乃‥お前、ネコみたいだなぁ。」


「ねっねこじゃないよ!」



振り向けば真くんがそこに居て。
窓から入り込んだ西日が優しく真くんを包む。




「里奈ちゃんはまだ帰れないのか?」



(‥里奈ちゃん?

あぁ、そっか‥。

真くん、里奈ちゃんを迎えに来たんだ‥。)




片桐さんが熊さんに話した昨日の出来事。
熊さんから里奈ちゃんのボディガードを頼まれたらしい真くん。



―――チクリ。

少し胸が痛む。



里奈ちゃんは、昨日大変な思いをしたんだから、
ボディガードがつくのは仕方ない。

熊さんの大事な義妹だし。
私がレセプトじゃなかったら一緒に帰ってると思うもの。



こんな気持ちになるのは‥間違ってる。



でも‥。私―――。



解決するまでは、熊さんと真くんで迎えにくるらしい。
朝は里花さんと一緒に通勤してくるみたいだ。

真くんから聞いたその話で‥。


真くんと里奈ちゃんの一緒の時間が増えるんだなぁ‥。なんて思ってしまった。



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