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アンバランスなsweet
第13章 重なる唇
定時に帰れる様になった今は、ひとりで帰宅しているんだけれど‥。



家に向かう途中の、
診療所から出たその先の、バス停の近く。
建物と建物の隙間の陰になっている場所。



診療所近くには高校がある。

高校と、診療所の最寄りのバス停が、診療所を出て50mぐらい先にあるから、
登下校の時間には可愛らしい高校生のカップルを見掛けたりする、密かな逢い引きスポット。



そこを通るのは何だかドキドキして。




―――少しだけ甘酸っぱい気分になる。



(本当にカップルがいたら気まずいんだけど!)




気に止めなければさほど目立たないその場所。




その前を通り過ぎる時に、人影を感じて‥。

(あっ、今日はカップルが居る‥。)


ちょっと都合が悪いな‥なんて思いながら足早に通り抜けようと歩くペースを早め‥




―――あれ?




チラッとみえたオレンジのツイードのコート。
‥重なる二人は私の良く知る人物‥?







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