この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
アンバランスなsweet
第13章 重なる唇

――まさか。
――こんな職場の近くで?
――嘘だよね。
そんな思いが胸をよぎる。
黒のダウンコート。
それは‥、
真くんの後ろ姿。
里奈ちゃんに良く似合っていたオレンジのツイードのコートが真くんの後ろで見え隠れして。
すっぽりと里奈ちゃんの姿は陰になって見えない。
そのオレンジだけが目に眩しかった。
真くんの‥、里奈ちゃんの小柄な躯に合わせて、
少しだけ前屈みになっているその背中。
その手は里奈ちゃんの腰に優しく添えられて。
陰に隠れてハッキリとは分からないけれど。
少し上向きになっている里奈ちゃんの左手が真くんの肩をギュっとつかんでいた。
私はその姿を直視出来なくて。
はやく。
はやく、離れなきゃ。
―――動いて!私の足。
足を急いで動かしたいのに、思う様に進んでくれない。
私の気持ちとは裏腹に、
私の、躯は言うことを聞かないけれど―‥。
―――この場所には居たく無い。
――こんな職場の近くで?
――嘘だよね。
そんな思いが胸をよぎる。
黒のダウンコート。
それは‥、
真くんの後ろ姿。
里奈ちゃんに良く似合っていたオレンジのツイードのコートが真くんの後ろで見え隠れして。
すっぽりと里奈ちゃんの姿は陰になって見えない。
そのオレンジだけが目に眩しかった。
真くんの‥、里奈ちゃんの小柄な躯に合わせて、
少しだけ前屈みになっているその背中。
その手は里奈ちゃんの腰に優しく添えられて。
陰に隠れてハッキリとは分からないけれど。
少し上向きになっている里奈ちゃんの左手が真くんの肩をギュっとつかんでいた。
私はその姿を直視出来なくて。
はやく。
はやく、離れなきゃ。
―――動いて!私の足。
足を急いで動かしたいのに、思う様に進んでくれない。
私の気持ちとは裏腹に、
私の、躯は言うことを聞かないけれど―‥。
―――この場所には居たく無い。

