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アンバランスなsweet
第13章 重なる唇
片桐さんからの言われたということも理由の一つだったけど。



―――こんな自分を変えたい。



そう思って。

髪を切ったら新しい自分になれるような気がして。




「紫乃、お前の髪、長くて真っ直ぐなんだな。」




前、真くんのシャツのボタンに私の髪が絡んだ事があった。
その時に、真くんから言われた言葉。



なんで‥今思い出すんだろう。



私は変わらなきゃ!
変わるんだ。



ほんの少しだけ、胸に燻る、
髪をcutするのを躊躇する気持ち、

その気持ちがそんな言葉を思い出させるのかな。



でも。
私は髪をcutするって決心したんだもの。



長い髪が自分から切り離されて。
その時は流石に何だか寂しい気持ちでいっぱいで。



ヘアサロンの床に落ちて散らばる様子を、
私はただ眺めていた。



散らばった髪は美容師さんによって集められ、片づけられて。
美容師さんが鋏を入れる度に頭が軽くなっていく。



真くんに対する、どうしようもないこの気持ち。



―――独占欲。



この気持ちも髪と一緒に自分から切り離せればいいのに―――。








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