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第14章 初めてのデート‥。

冬が終わって、草木が芽吹く春先になったら身に付けたくなる様なそんな綺麗な色味の生地は、
着てみれば、私の今の髪型に良く似合っていた。



「紫乃‥、良く似合うよ。」



試着室のカーテンを開け、片桐さんにみせた。
私の肩に手を当てて、躯を反転させられて。

試着室の中の姿見に私と片桐さんの姿が映っている。

―――良く、似合うよ。

鏡の中の片桐さんが試着した私の姿を鏡の中から覗いていて。



その視線は、微笑みは―――――。

髪型を誉めてくれた時の片桐さんの視線と同じもの。


凄く愛しい物を見るように、
誰かを懐かしむように、目を細めて――――。





ランチは高台に建つホテルのなかのレストラン。

先程の人混み、その喧騒から少し外れたその場所は森に囲まれて瀟洒な雰囲気の白壁の小さなホテル。

レストランの窓から広がる景色は市内を一望できる。


結婚式でよく利用されるそのホテルは地元の女の子の憧れなスポットで。





―――デートでここに来ることなんて、私には無理だと思っていたのに。