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アンバランスなsweet
第15章 やり直す為に
「俺ね‥‥何度か里奈に会いにここに来たんだ。
でも、声を掛けることが出来なかった。


俺の作品を一番理解してくれていた里奈。
だから、里奈に甘えていた。

認められたくて。
一人立ちしたくて。

足掻いて。
もがいて。

でも結果がでないその苦しさを‥‥里奈にぶつけることしか出来なかった。」



あの雪の日、卓さんはじっとあの場所に佇んで。
里奈ちゃんと私を見つめていたらしい。

怯える里奈ちゃんの姿に、
自分のしたことが取り返しがつかないことだと、深く後悔した―――そう呟いて。



あれ以来見かけた事がなかった卓さんのその姿。
一人きりな里奈ちゃんには声を掛けられずに―――。



卓さんはコーヒーをひとくち口にすると、
また静かに黙り込んでしまって。


冷たくなったコーヒーからは、
既にその優しい薫りはしなくなって。


黒い液体から漂う恋の残滓に私の心は苦しくなる。



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