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アンバランスなsweet
第16章 熱情
真くんに対する自分の口調に少し驚く。


他人と争うことが苦手な私は、
心で悪態をつくことはあっても、
感情に任せて言葉を口に出すことは稀だった。


真くんにはいつも感情を揺さぶれて。
そんな言葉がつい口を衝いてしまうのだ。


《――真くんには関係ない》

それは‥‥里奈ちゃんと卓さんの問題だから。
私は――ただ相談を受けただけだもの。


彼女を護る為とはいえ、
卓さんと喧嘩した真くんに、
私からは話すことが躊躇われて。


卓さんと二人で会っていた理由を
口に出せないまま、
真くんをじっと睨みつけることしか出来なかった。



「‥‥んだよ。それっ‥」




真くんの口の端。卓さんとの殴り合い。
その喧嘩の後なのだろう――赤黒くカサになり、痛々しい傷あとが残って。

その眼が燃えるようギラギラ煌めいて、
強い光を放っている。



――あっ‥‥!



その荒い運転に、遠心力で真くんの方に躯が傾いた。
運転の邪魔だから――早く退かなきゃ。




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