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アンバランスなsweet
第16章 熱情
そんな理由で、俺の顔はだいぶ強張っていたと思う。

アイツ…紫乃の手首は、折れてしまいそうな程華奢で―…。
ひんやり冷たいその脈打つ場所にそっと口付けしたい衝動に焦り、俺はその手首を急に離した。


紫乃は、いきなり連れ去られたことに対し、
俺には何も言わず黙って車に乗っている。


いや。何度か俺の方をそっと伺うように見ていた。
その口は…


――何で怒ってるの?


そう聞きたそうな口ぶりで。
紫乃の困惑した視線を感じていたけれど。


でも俺は――そんな紫乃にも腹を立てていたんだ。

俺に対して…そんな遠慮がちな態度…取るなよ。
聞きたいことはちゃんと聞けばイイ。


ますます俺は紫乃が話しづらくなるような――そんな仏頂面で。

話しかけられたいのか、否なのか――解らない態度を紫乃に対して取り続けてしまう。


そして…
沈黙が暫く続いた。

俺のイライラ。
その衝動的なな気持ちは、
紫乃と一緒にいることでだいぶ落ち着いて来ていたけれど。



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