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アンバランスなsweet
第20章 さ迷い…triangle

着替えをする為の姿見の前で、そっと指でその花をなぞる。
昨日の少しチリっとした感触が甦って、
躯が……震える。
――――ッ…ヤダ
消したい衝動に駈られ、その肌をゴシゴシ擦った。
だけど、すぐには消えなくて。
隠したい。
そんな気持ちに襲われる。
《―――春もののセーターを着ておいで。
その花がチラリと見えるような》
彼女なのに。
その行為が嫌――だなんて片桐さんには絶対言えない。
この所有印を真くんに見られたくたい。
《―――スカーフで隠せばわからないよ。》
片桐さんの言葉が脳裏に浮かぶ。
―――幸せにしてやって
その言葉に手が止まる。
―――こんな気持ちなのに。
ブラウスに伸びていたその手を引っ込めて、セーターに手を伸ばす。
片桐さん好みの
ハッキリした色合いの黄緑色のセーターに
ボーリングするんだからと、
白いジーンズを合わせた。
スクエアカットの襟ぐりからは
その花が少しだけ覗いて…。
思わず…絆創膏をその場所に貼った。
見えなくなっても、其処にあるのに。
そうすることでそれが消えてしまうかのように。
まるでその印を無かったことにするみたいに――…。

