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アンバランスなsweet
第20章 さ迷い…triangle

「………スカーフ巻くの、紫乃。
そんなに―――隠したい?」
少しだけ責めるようなその口調。
正直、隠したい。
だって、それは秘め事で。
みんなに見せる…ことじゃないもの。
スカーフを巻きなおそうとしている私に、話かける片桐さんの顔を見たら…、
『―――亜子は悪い子だ……』
ふと、昨日の言葉を思い出す。
――亜子って誰?
片桐さんの心の中にはいったい誰が住んでるの?
私以外の誰かの名前を呼びながら、
私を離すまいとする片桐さんの姿を垣間見てしまった気がした昨日。
私の心に『別れ』その二文字が忍びよって来ていた。
*****
いよいよ始まるボーリングのゲーム。
4人でいる時の片桐さんからはさっきの威圧感は身を潜めて。
里奈ちゃんが真くんの隣で笑っている。
二人の姿はお似合いで。
その姿に私の胸はさっきから苦しく締め付けられるようだった。
真くんも朗らかで――…。
でも、私とは目を合わせてはくれない…どころか、少し避けられてる?そんな素振り。

