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アンバランスなsweet
第20章 さ迷い…triangle

私の番が来て。
緊張して。
レーンまでの緩やかな助走。
足が合わなくて転びそうになる。
もともと運動神経に難ありな私。
手足が長いのが幸か不幸か。
投げようと玉を持った右手を後ろに引いたその時、また玉が私の手から抜けて。
「あっ!」
後ろに落ちる玉。
投げるのは前になのに。
なにやってるんだろう…私。
隣のレーンの人が笑っている声が聞こえた。
「紫乃さぁ~ん!前、前ですよ」
「ドンマイ!紫乃」
里奈ちゃんと真くんの明るい声が聞こえるけれど、
もう穴があったら入りたい!
思うぐらいの恥ずかしさで。
「まこと、紫乃を呼び捨てに――――」
「片桐さん俺、もう―――しないですよ」
「紫乃は俺の―――」
真くんと片桐さんに何か話している声が聞こえた。
私の知らないところでのその会話は、後から里奈ちゃんから聞いて赤面することになるんだけれど……。
……後ろに玉を投げてしまった、その恥ずかしさで頭がいっぱいで、その時の私はそれどころじゃなかった。

