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アンバランスなsweet
第20章 さ迷い…triangle

ピンは最初半分ぐらい一気に倒れた。
その後、残っている1本のピンがグラグラ右に左に揺れて、周りのピンを巻き込みながら倒れていく。パタン、パタン…ゆっくりとその残りのピン達は全て倒れ、その場所には何も残っていなかった。
「紫乃さーん!ストライクですよ‼」
里奈ちゃんが私に駆け寄って来て、ニコニコ笑っている。
「一緒にもぎ取れて嬉しいよ」
片桐さんの優しい声。
初めての第一投がストライク、全部倒れるなんて、信じられなかった。
その、興奮した一瞬。
真くんや里奈ちゃん、片桐さんのことで、モヤモヤしていた私の気持ちは真っ白になり、勝負に拘るのが嫌になって。
一緒に投げたそのボーリングの玉がストライクになったのは、優しくコツを教えてくれた片桐さんのお陰。
それは凄く嬉しかったけれど…、興奮してるんだけど。
―――嬉しい気持ちの中に広がる、その違和感。
何かが違うのだ。
上手く言えないけれど、そうじゃないの。
私が欲しいのはそんな優しさじゃ無い。

