パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第22章 波の音と恋の終わり

自分好きになってくれた人を、素直に好きになれたならどんなに楽だろう。
そう思い飛び込んだ片桐さんの胸。

そういうスタートラインから、緩やかに育む恋もあるんだろう。
実際、それで幸せになっている友達だって多かったのに――…。

ううん。違う。
スタートラインとかそういう事じゃなくて。
そんなのは自分に対する言い訳だもの。

問題は、私の心。

真くんに対する、その気持ちがいつまでも消えることは無いままだったのに。
ズルズルと片桐さんの優しさに甘えてしまっていた、ずるい私にあるんだ。

はっきりと自分の気持ちを自覚してしまえば、そのずるさに嫌気がしてしまう。

その優しいけれど、居心地の悪い繭の中には戻れれない。

ずっと感じていた違和感はきっと…。
私のいるべき場所じゃ無いからだったんだ。