この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
アンバランスなsweet
第22章 波の音と恋の終わり

今日のWデートを迎える時まで、俺はずっと悩み続けた。
熊さんには「紫乃を片桐さんから奪う」なんて、酔いに任せて、格好つけて宣言した俺だったけど。
実際、他の男の彼女にどうアプローチしたら良いかなんて解らなかった。
紫乃のケー番もメルアドも知らない。
俺と紫乃の繋がりは、片桐さんとのそれと全く同じだ。
俺達は同じ職場でチームだから、同じ釜の飯を食べた仲というか。
あるときは命掛けで。違いの背中を守るみたいな、正直女なんかには理解出来ないだろう、信頼関係と絆が生まれる。
勿論、紫乃のこととは別に、片桐さん自体を俺は尊敬しているし、有事の時は背中を任せられる人だと知っている。
片桐さんの彼女になった紫乃に粉掛けてる様を誰かに知られたりしたら、働きづらくなるのは間違い無しで。
里奈ちゃんにそれと無く聞いてみたものの、「紫乃さんに確認してからなら」と教えて貰えなかった。
他の誰かの女の番号なんて、普通は必要無いもんな。
誰にも聞けないまま、時間だけが過ぎた。
―――聞いとけば良かった。
熊さんとの飲みの後強くそう思った。

