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アンバランスなsweet
第22章 波の音と恋の終わり

紫乃の気持ちが片桐さんに無い様な気がするのは、もしかしたら全てアイツの事を想う俺の幻想かもしれない。
俺に気持ちが少しだけ向いているように想うのも皆、勘違いなのかもしれない。
紫乃の気持ちに確証が無いまま。それを知る機会も与えられずに、今日まで来てしまった。
彼氏がいる女なんて面倒なだけなのに、俺はアイツを忘れられないでいる。
―――俺って、こんなに女々しい奴だったか?
そう思うぐらい、紫乃を求める俺がいた。
里奈ちゃんから貰ったこのチャンスを俺は絶対無駄にはしないと熊さんに誓ったんだ。
―――この気持ちは紫乃に伝えよう。
そして、片桐さんのその過去の事も紫乃は知るべきだ。
アイツはまだ片桐さんの彼女だし、総てを知ってなおまだ片桐さんが好きなら――…。
―――嫌だ!
片桐さんが好きでも、俺のモノにしたい。
俺なら身代わりなんかじゃなく、紫乃自身を――…。
―――落ち着け、俺。冷静になれ。
片桐さんが話さないなら、亜子さんとのその過去を紫乃に俺が話す。そう決めたんだ。

